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社長の伊藤です。
赤沢大臣が「目詰まりは解消した」と発言してから、約1か月が経ちました。
しかし残念ながら、現場ではその効果はあまり見えておらず、むしろ影響は広がっているように感じます。
「注文が殺到したせいだ」という声もあります。それは事実だと思います。実際、供給不安がある中では、各社が早めに材料を確保しようと動くため、注文が集中するのは当然です。
ただ、それだけが理由ではありません。
経団連なども、「マクロな在庫量」と「ミクロな現場での目詰まり」には乖離があると指摘しており、早期の実態把握と、より詳細な対策を求めています。
また、Bloombergでも、樹脂やシンナーなどの供給不足を訴える声が続いていることや、ナフサといっても企業によって必要な種類が異なることなど、生産や調達の現場は単純な在庫量だけでは判断できない複雑な仕組みで動いていると報じられています。
つまり、「量はある」と言われても、現場が必要としている種類の材料が、必要なタイミングで届かなければ意味がありません。今起きているのは、そうしたきめ細かい対応が追いついていない状況だと思います。
塗装業界では、シンナー類に真っ先に影響が出ました。中でも、トルエンやキシレンのような溶剤に使われる原料は、かなり早い段階で不足感が出た印象があります。
有機溶剤は危険物でもあるため、そもそも大量に保管できるものではありません。そのため、供給が少し乱れるだけでも、現場への影響が出やすい材料です。
また、2液型のシーリング材なども、使用期限が半年ほどしかないものが多く、長期保管には向きません。そのため、今は必要な材料を確保するだけでも大変な状態になっています。
同じナフサ由来の材料といっても、最終的にどの製品にどれだけ影響が出るかは、それぞれ異なります。ここに、現場との認識のズレが生じていると感じています。
つまり、現場からすると「足りていると言われても、うちには物が来ていない」という状況になるわけです。
こうした状況の中、政府は「足りているので、例年どおりの発注を」と言います。
しかし、これまで2〜3日で届いていたものが、今は数週間、物によっては数か月かかる状況です。
その中で、例年どおりに発注するというのは、現場の感覚からすると無理があります。
結局、会社としてできることは、早めに発注して材料を確保することしかありません。
しかし、その動きがまた注文の集中を生み、品薄につながってしまう。
今は、そうした悪循環が続いている状態だと感じています。
現場が求めているのは、「在庫はある」という大きな話ではなく、必要な材料が、必要な時期に、実際に届くかどうかです。
この現場感覚とのズレを埋めなければ、目詰まりが解消したとは言えないのではないでしょうか。